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輸出管理の業界用語辞典【初心者向け】|「別1」「特一般」「ホワイト国」など現場の通称30語を一気に解説【2026年版】

公開2026-07-07濱本 隆太

「別1」「特一般」「ホワイト国」「キャッチオール」。輸出管理の現場で飛び交う通称は、条文のどこにもそのままの形では書かれていません。新任担当者が最初に躓く業界用語およそ30語を、法令・判定・許可・海外リスト・体制の6カテゴリに分けて、通称と正式名称の対応から一気に解説します。詳しく知りたい用語は個別の解説記事へたどれるハブ記事です。

輸出管理の業界用語辞典【初心者向け】|「別1」「特一般」「ホワイト国」など現場の通称30語を一気に解説【2026年版】
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こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。輸出管理の担当になった人が最初に躓くのは、法律の難しさでも英語でもなく、「先輩の話している言葉が分からない」ことだと私は思っています。「この製品、別1の何項だっけ」「そこは特一般で行けるでしょう」「相手はホワイト国だから大丈夫」。会議室で飛び交うこれらの言葉は、条文をいくら検索してもそのままの形では出てきません。正式名称と現場の通称が二重になっていることが、この分野の入り口を必要以上に分かりにくくしています。

この記事は、その通称を6つのカテゴリに分けて、およそ30語を「通称、正式名称、ひとこと解説」の順で並べた用語辞典です。頭から読んでも、会議中に分からない言葉が出てきたときに拾い読みしても使えるように書きました。詳しく知りたい用語には個別の解説記事へのリンクを付けてあります。まずは用語より先に自社の体制の現在地を知りたいという方は、輸出管理体制の無料診断を先に試してから読むと、それぞれの用語が自分ごととして頭に入ってくるはずです。

本文に入る前に、特に誤解されやすい通称と正式名称の対応だけ、先に一覧にしておきます。

現場の通称 正式名称・正確な意味
外為法(がいためほう) 外国為替及び外国貿易法
輸出令 輸出貿易管理令
別1(べついち) 輸出貿易管理令の別表第1
貨物等省令 輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令
該非(がいひ) 該非判定。リスト規制への該当・非該当を判定する作業
キャッチオール リスト規制を補完する規制。用途や需要者に着目して許可の要否を決める
特一般(とくいっぱん) 特別一般包括輸出・役務取引許可
ホワイト国 輸出令別表第3に掲げる地域。現在の正式な呼称はグループA
CP(シーピー) コンプライアンス・プログラム。輸出管理の内部規程
EUL 外国ユーザーリスト。経済産業省が公表する懸念組織のリスト

前置きはここまでにして、法令の名前から始めます。

法令・リスト系の用語

最初のカテゴリは、輸出管理のルールそのものを指す言葉です。会話の中で「法律の名前」と「政令の名前」と「リストの名前」が省略形で混ざって出てくるので、まずここの整理が土台になります。

外為法(がいためほう) 正式名称は「外国為替及び外国貿易法」です[^1]。日本の輸出管理の一番上にある法律で、貨物の輸出も技術の提供も、大元をたどればこの法律に行き着きます。1949年にできた古い法律ですが、経済安全保障の流れの中で今も改正が続いています。

輸出令 正式名称は「輸出貿易管理令」という政令です[^2]。外為法の下で、具体的にどの貨物の輸出に許可が必要かを定めています。現場で「輸出令の何条」「輸出令別表」と言えば、ほぼ間違いなくこの政令のことです。

別1(べついち)・別表第1 輸出令の末尾に付いている「別表第1」の通称です。許可が必要になる貨物を1項から16項に分けて列挙したリストで、1項が武器、2項から15項が大量破壊兵器や通常兵器に関わる機微な品目、16項がそれ以外を広く拾う受け皿になっています。該非判定はこの表との照合作業なので、輸出管理の担当者が一番長く付き合う表だと言っていいと思います。詳しくは輸出令別表第1の解説記事にまとめました。

外為令別表 正式名称は「外国為替令」の別表です[^3]。貨物のリストが輸出令別表第1なのに対して、技術(役務)のリストがこちら。図面やデータ、技術指導といった形のないものの提供を管理します。貨物と技術で参照する表が違う、という点は初心者が最初に混乱するところです。役務取引・外為令別表の解説記事で丁寧に説明しています。

貨物等省令 正式名称は「輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令」。長いので、誰もが「貨物等省令」と呼びます[^4]。別表第1や外為令別表が「何を規制するか」の項目名を挙げるのに対して、この省令が周波数や強度といった具体的なスペックの数値を定めています。該非判定で実際に読み込むのは、ほとんどこの省令です。

マトリクス表 経済産業省が公表している、輸出令別表第1・外為令別表の項番と貨物等省令の条文を対応させた一覧表の通称です[^6]。法的な拘束力を持つ文書ではなく、あくまで判定を助ける参考資料ですが、実務ではこれなしに判定を始める人はまずいません。使い方のコツはマトリクス表の解説記事にまとめています。

該非判定まわりの用語

ルールの名前を押さえたら、次は日々の判定作業で使う言葉です。このカテゴリの用語は社外とのやり取りにも登場するので、取引先からの依頼文を読むためにも必要になります。

該非判定(がいひはんてい) 自社の貨物や技術が、リスト規制に該当するか非該当かを判定する作業です。輸出管理の実務の中心であり、最も工数がかかる仕事でもあります。近年はAIで下調べを高速化する動きも出てきていて、その現状は該非判定AIの記事で書きました。

項番(こうばん) 別表第1や外為令別表の中の位置を示す番号のことです。「6項の何号」「3の2項」のように使います。該非判定の結果は最終的に「どの項番に該当するか、あるいはどの項番との関係でも非該当か」という形で表現されるので、項番は判定結果の住所のようなものだと考えると分かりやすいと思います。

パラメータシート 該非判定の結果を整理するための様式の通称で、CISTEC(後述)が発行しているものが広く使われています[^10]。省令の要求スペックに沿って、自社製品の仕様を一つずつ当てはめて確認していく形式です。取引先から「パラメータシートをください」と言われたら、この判定書式を指しています。

項目別対比表 パラメータシートと似た役割の書式で、省令の条文と自社製品の仕様を項目ごとに対比させて示すものです。経済産業省の許可申請などで使われる様式として案内されています[^5]。名前は違っても、条文とスペックを突き合わせるという中身は共通です。

非該当証明書 自社の製品がリスト規制に非該当であることを取引先向けに示す書類の通称です。実は法令上の提出義務がある書類ではなく、商社や輸送業者が確認のために求める商慣行として定着したものです。書き方と注意点は該非判定書ガイドで解説しています。

該非判定の属人化を、AIで解消する。

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規制方式の用語

日本の輸出管理は、大きく二つの網で構成されています。品目に着目する網と、用途や相手に着目する網です。この構造を表す用語を押さえると、制度の全体像が一気に見通せます。

リスト規制 輸出令別表第1の1項から15項に挙げられた貨物、および対応する技術について、仕向地を問わず許可を求める規制方式です。「何を出すか」で決まる網、と覚えるのが早いと思います。リスト規制とキャッチオールの記事で二つの網の関係を図解しています。

キャッチオール規制 リスト規制に掛からない品目でも、大量破壊兵器などの懸念用途に使われるおそれがある場合に許可を求める補完的な規制です。2002年に大量破壊兵器分野で導入されました[^5]。「誰に、何のために出すか」で決まる網です。発動の条件が次の三つの要件です。

用途要件 輸出しようとする貨物が、大量破壊兵器の開発などに使われるおそれがあると輸出者が知った場合に、許可申請が必要になるという条件です。カタログ品の輸出でも、用途次第で網に掛かるのがキャッチオールの怖さです。

需要者要件 貨物を受け取る相手、つまり需要者が大量破壊兵器の開発などに関わっている、または関わっていたと知った場合に許可申請が必要になる条件です。用途と相手、二つの角度から懸念を拾う設計になっています。

インフォーム要件 経済産業大臣から「この取引は許可申請が必要です」と個別に通知を受けた場合の条件です。自分では懸念に気づいていなくても、通知が来たら申請義務が生じます。三つの要件の使い分けはキャッチオール規制の3要件の記事に詳しく書きました。

許可の種類にまつわる用語

判定の結果「許可が必要」となったとき、どの種類の許可を使うかで実務の負担は大きく変わります。ここの用語は略称のオンパレードなので、正式名称との対応を意識して覚えるのが近道です。

個別許可 契約ごと、取引ごとに経済産業大臣へ申請して受ける許可です。原則形であり、機微度の高い品目や懸念のある仕向地では、これしか選べない場面もあります。

包括許可 一定の範囲の貨物・仕向地について、取引のたびではなくまとめて受けられる許可の総称です。反復的な輸出が多い企業にとっては、実務負担を左右する重要な仕組みです。個別許可との違いと使い分けは包括許可と個別許可の違いにまとめています。

特一般(とくいっぱん) 特別一般包括輸出・役務取引許可の略称です。包括許可の一種で、一般包括より広い範囲をカバーできる代わりに、輸出管理の社内体制の整備など利用のための要件が課されます。要件の詳細は経済産業省の告示や通達で改正されることがあるため、最新の内容は経産省の安全保障貿易管理のページで確認してください[^5]。

少額特例 総価額が小さい貨物について、一定の条件の下で許可を不要とする特例の通称です。対象になる項番や金額の基準、仕向地の条件が細かく決まっており、ここを勘違いした無許可輸出は典型的な違反パターンです。金額基準を含む詳細は少額特例・無償特例の解説記事で確認してください。

無償特例 無償で輸出され、無償で輸入されるべき貨物などについて許可を不要とする特例です。展示会への出品物や修理品の往復で登場します。「無償なら何でも自由」ではなく、告示で対象が限定されている点に注意が必要です。

役務取引(えきむとりひき) 技術の提供を指す外為法上の言葉です。図面を送る、データを共有する、口頭で技術指導をする。どれも貨物は動きませんが、役務取引として管理の対象になり得ます。メール添付一本でも起こり得るのが貨物との違いで、詳しくは役務取引の解説記事へどうぞ。

地域と海外リストの用語

輸出管理の会話には、日本の制度の言葉と米国の制度の言葉が混ざって出てきます。どちらの国のリストの話をしているのかを聞き分けられるようになると、会議の解像度が一段上がります。

ホワイト国(グループA) 輸出令別表第3に掲げられた、輸出管理の信頼度が高いとされる国・地域の通称です。2019年に正式な呼称が「グループA」に変わりましたが、現場では旧称のホワイト国も根強く残っています。グループAが相手ならキャッチオール規制の対象外になるなど、実務上の扱いが大きく変わります。国グループAからDまでの違いはホワイト国とは?の解説記事で整理しました。

外国ユーザーリスト 経済産業省が公表している、大量破壊兵器などの開発への関与が懸念される外国の組織のリストです[^8]。英語の頭文字からEULとも呼ばれます。掲載されていたら即取引禁止、という単純な話ではなく、用途の確認を慎重に行うためのシグナルとして使います。

Entity List(エンティティリスト) こちらは日本ではなく、米国商務省の産業安全保障局(BIS)が公表する懸念顧客のリストです[^11]。掲載された組織への輸出や再輸出には米国の許可が必要になります。外国ユーザーリストと混同されがちですが、根拠法も運用も別物です。

EAR 米国の輸出管理規則、Export Administration Regulationsの略です[^12]。米国製品そのものだけでなく、米国由来の技術や部品を一定割合以上含む外国製品の再輸出にも及ぶ、いわゆる域外適用が特徴です。日本企業も他人事ではいられません。

ECCN EARの下で品目を分類する番号、Export Control Classification Numberの略です。3A001のような英数字5桁で表されます。日本の項番の米国版と考えると入りやすいはずです。よく使う番号はECCN早見表にまとめてあります。

EAR99 EARの対象ではあるものの、規制リスト(CCL)のどの分類にも該当しない品目を指す記号です。「EAR99だから規制なし」と誤解されやすいのですが、禁輸国や懸念顧客が相手なら許可が必要になる場合があります。ここは口頭で説明を求められることが多い用語です。

みなし輸出 国内にいる非居住者などへの技術提供を、国境を越えていなくても輸出とみなして管理する考え方です。外国人留学生への技術開示や、国内の外資系企業とのやり取りで問題になります。2022年の運用明確化で対象の考え方が整理されました。詳しくはみなし輸出の解説記事へ。

仲介貿易 日本を経由せずに、外国から外国へ貨物を動かす三国間取引のことです。貨物が日本に来なくても、武器や大量破壊兵器に関わる取引は外為法の許可対象になり得ます。商社の実務で特に重要な概念で、仲介貿易規制の解説記事で具体例を挙げています。

このカテゴリの用語が示すとおり、確認すべきリストは日米だけでも複数あり、しかも頻繁に更新されます。手作業での突き合わせに限界を感じている企業も多いはずです。弊社の輸出管理AIエージェントTRAFEEDは、論文や特許など2億件を超えるナレッジグラフを使って取引先の懸念度を5秒で可視化し、各国法規の変更を当日反映する仕組みで、この確認作業の下調べを支えています。もちろん最終的な該非判定や取引可否の判断は、貴社の輸出管理責任者が行うことが前提です。道具はあくまで、判断の材料を速く揃えるためのものだと考えています。

組織・体制の用語

最後は、社内体制と業界団体にまつわる言葉です。監査や当局とのやり取りで登場する用語なので、管理部門に近い人ほど早く覚えることになります。

CISTEC(システック) 一般財団法人安全保障貿易情報センターの略称です[^10]。輸出管理に関する調査研究、出版、教育を担う日本の中核的な団体で、パラメータシートの発行元でもあります。担当者になれば必ずどこかで出会う組織です。成り立ちと活用法はCISTECとは?の解説記事にまとめました。

CP(コンプライアンス・プログラム) 輸出管理の内部規程の通称です。誰がどう判定し、誰が出荷を止める権限を持つのかを文書で定めたもので、経済産業省に届け出ることで包括許可の利用など実務上のメリットにつながります。体制づくりの背骨にあたる文書です。

輸出者等遵守基準 外為法に基づいて2010年から適用されている、輸出を行うすべての事業者が守るべき基準です[^7]。規模の大小を問わず適用される点がポイントで、「うちは中小だから関係ない」は通用しません。何をどこまで求められるのかは輸出者等遵守基準の解説記事で解説しています。

輸出管理責任者 リスト規制品を扱う事業者に対して、遵守基準の中で選任が求められる責任者です。実務では役員クラスが統括責任者を務め、その下に実務部門の責任者を置く形が一般的です。名前だけの選任で実態が伴っていないと、監査で厳しく見られるところです。

誓約書 輸出した貨物や技術を懸念用途に使わない、無断で転売しないといった内容を取引先に約束してもらう書類です。エンドユーザー証明とセットで語られることが多く、様式や取得のタイミングは誓約書・エンドユーザー証明の解説記事で説明しています。

まとめ。用語は暗記するものではなく、変換表として使うもの

30余りの用語を並べてきましたが、全部をいま覚える必要はありません。私が新任の方にいつもお伝えしているのは、分からない通称が出てきたら正式名称に変換して、一次情報にあたる癖をつけてください、ということです。「別1」と言われて分からなくても、「輸出貿易管理令の別表第1」だと分かれば、e-Govで条文そのものを引けます[^2]。経済産業省の安全保障貿易管理のページ[^5]とQ&A[^9]、そしてCISTECの資料[^10]。この三つを起点にすれば、たいていの疑問は一次情報までたどり着けます。制度の細部、特に金額基準や告示の内容は改正で動くので、この記事の各リンク先とあわせて、経産省の最新告示で必ず確認してください。

用語の壁を越えた先にあるのは、判定と確認という地道な実務です。そこで手が回らなくなる前に、体制や運用について相談したいことがあれば個別相談からお声がけください。言葉が分かれば、輸出管理は思っているほど怖い分野ではありません。まずは次の会議で、飛び交う通称を一つずつ正式名称に変換するところから始めてみてください。

参考

[^1]: 外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号) — e-Gov法令検索 — 2026年7月閲覧 [^2]: 輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号) — e-Gov法令検索 — 2026年7月閲覧 [^3]: 外国為替令(昭和55年政令第260号) — e-Gov法令検索 — 2026年7月閲覧 [^4]: 輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令(平成3年通商産業省令第49号) — e-Gov法令検索 — 2026年7月閲覧 [^5]: 安全保障貿易管理(トップページ) — 経済産業省 — 2026年7月閲覧 [^6]: マトリクス表 — 経済産業省 安全保障貿易管理 — 2026年7月閲覧 [^7]: 安全保障貿易管理ハンドブック — 経済産業省 — 2026年7月閲覧 [^8]: 外国ユーザーリスト — 経済産業省 安全保障貿易管理 — 2026年7月閲覧 [^9]: 安全保障貿易管理Q&A — 経済産業省 — 2026年7月閲覧 [^10]: 一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC) — 2026年7月閲覧 [^11]: Entity List — U.S. Department of Commerce, Bureau of Industry and Security(BIS) — 2026年7月閲覧 [^12]: Export Administration Regulations(EAR) — U.S. Department of Commerce, Bureau of Industry and Security(BIS) — 2026年7月閲覧

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