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「技術情報、漏れていませんか」JX LIVE! 2026 登壇レポート(前編)|AI時代の経済安全保障と輸出管理の最前線

公開2026-08-01濱本 隆太

2026年7月28日、新経済連盟のJX LIVE! 2026(虎ノ門ヒルズ TOKYO NODE)でスポンサーセッションに登壇しました。前編では、私が資料で説明した第1章「安全保障×AIのいま」を当日のスライドつきで振り返ります。外為法の行政制裁と法人重科、2026年11月10日に効力が戻る米国の50%ルール、実際に19日間止まったAIモデル、みなし輸出の特定類型まで、一次情報で裏を取り直した内容を載せています。

「技術情報、漏れていませんか」JX LIVE! 2026 登壇レポート(前編)|AI時代の経済安全保障と輸出管理の最前線
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株式会社TIMEWELLの濱本 隆太です。

2026年7月28日、一般社団法人新経済連盟が主催する「JX LIVE! 2026 - JAPAN TRANSFORMATION」で、当社のスポンサーセッションに登壇しました。会場は虎ノ門ヒルズの TOKYO NODE、時間は13時50分から14時30分までの40分間です。セッション名は「技術情報、漏れていませんか ― AI時代の経済安全保障と、輸出管理の最前線」1

このレポートは前編と後編の2本立てです。前編にあたる本稿では、私が資料を使って説明した第1章「安全保障 × AI のいま」を、当日投影したスライドとともに振り返ります。後編では、岡山大学の松原 忍 氏と当社CTOの内藤 一樹を交えた第2章の対話を扱います。

ひとつ先にお断りしておきます。登壇資料には、当日までに集めた情報をもとに載せた数字がいくつもありました。記事にするにあたって全部の出典を洗い直したところ、数字の出どころが自分たちの集計だったところ、その後の確認で実態と食い違っていたところが見つかりました。該当箇所は本文中でそのまま訂正しています。スライドの見栄えより、あとから読む方が判断を誤らないことを優先しました。

「技術情報、漏れていませんか? AI時代の経済安全保障と、輸出管理の最前線」と題したセッションのタイトルスライド。登壇者は松原 忍 氏(岡山大学)、濱本 隆太と内藤 一樹(TIMEWELL)、2026年7月28日 虎ノ門ヒルズ

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

40席の部屋が埋まったことに、正直おどろきました

JX LIVE! は全体で過去最多となる600名超の来場があったと発表されています1。そのなかで当社のセッションは、40席ほどの会場がほぼ埋まりました。

輸出管理というテーマは、率直に言って地味です。新規事業やAI活用の話に比べれば華がないし、40分の枠で人が集まるとは思っていませんでした。にもかかわらず席がほぼ埋まったのは、経済安全保障が「担当部署のしごと」から「経営の議題」に移りはじめている証拠だと受け止めています。

登壇者は3名です。私、濱本 隆太が株式会社TIMEWELLの代表取締役CEOとして、また信州大学の特任准教授を兼務する立場でモデレーターと第1章の説明を担当しました。パナソニックに15年在籍してファクトリーオートメーションやエッジAI、シリコンバレーでの仕事を経て、2022年にTIMEWELLを創業し、輸出管理AIエージェントのTRAFEEDを開発しています。

当社CTOの内藤 一樹は、AIの実装側から解説する役割でした。NTTで14年、止められない基幹システムを設計から運用まで担ってきた人間です。停止も誤りも許されない領域を長く見てきたからこそ、AIの判断を追跡できる形にする設計にこだわっています。

そしてゲストとして、国立大学法人岡山大学 研究・イノベーション共創管理統括部 研究協力課の松原 忍 氏に登壇いただきました。事務職員(特任)として大学の輸出管理体制を構築し、運用してこられた方です。STC Expert と安全保障貿易管理士(総合)を保有されています(肩書は2026年6月時点)。松原氏のお話は後編で詳しく扱います。

まず、問いかけから入りました

いきなり制度の説明をしても、たいてい他人事のまま終わります。なので冒頭は、4つの問いかけから始めました。

「こんなこと、ありませんか?」という問いかけのスライド。生成AIに社内の図面や仕様書を貼り付けた、海外の学生・研究者に研究データを見せている、取引先の「親会社」まで確認したことがない、ルールは「去年と同じ」だと思っている、の4項目が並ぶ

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

生成AIに社内の図面や仕様書を貼り付けた。海外の学生や研究者に研究データを見せている。取引先の親会社まで確認したことがない。ルールは去年と同じだと思っている。

この4つは、どれも悪意のない日常の動作です。図面を貼り付けたのは仕事を早く終わらせたかったからで、研究データを見せたのは共同研究を進めるためでしょう。親会社まで調べないのは、そこまで調べる仕組みがなかったからです。

それでも、いま世界で問題になっている経路の入口は、だいたいこの4つのどれかから始まります。会場を見渡すと、うなずいている方もいれば、少し表情が変わった方もいました。40分の残りは、この4つがどう制度につながっているかの説明にあてました。

これは、現場のミスの話ではありません

次のスライドは、経営者に向けたものです。輸出管理の話をすると「担当者に伝えておきます」と言われることがあるのですが、それでは間に合わない理由をここで示しました。

「これは、現場のミスの話ではありません」と題したスライド。最大3年の取引禁止(行政制裁)と最大10億円の法人罰金を示し、右側に「外為法違反は、なぜ起きたか」として該非判定のプロセス64%、ラベルのない項目12%、法令の認識不足8%、ラベルのない項目8%を並べた横棒グラフ

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

まず行政制裁です。外国為替及び外国貿易法(外為法)第53条第1項は、許可を受けずに規制対象の貨物を輸出した者に対して、経済産業大臣が3年以内の期間を限って、輸出や技術提供を目的とする取引を禁止できると定めています2。禁止の対象はモノの輸出だけではありません。特定技術を外国で提供したり非居住者に提供したりする取引も含まれます。海外売上のある会社にとって、これは事業そのものが止まる処分です。

刑事罰のほうは、条文をきちんと押さえておく必要があります。無許可輸出や無許可の技術提供取引は、外為法第69条の7第1項で7年以下の拘禁刑または2,000万円以下の罰金(併科あり、目的物の価格の5倍が2,000万円を超えるときは価格の5倍以下)です。核兵器等の開発に関わる類型は同条第2項で10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金になります2。なお現行法の刑名は懲役ではなく拘禁刑です。2025年6月1日に施行された改正で呼び方が変わりました。

スライドに書いた「最大10億円」は、法人に対する重科の話です。第72条第1項が、第69条の7第2項の違反について法人に10億円以下の罰金刑を科すと定めています2。ここで2点、資料より正確に書いておきます。

ひとつ目。10億円は最も重い類型に限られます。通常のリスト規制品を無許可で輸出した場合(第69条の7第1項)の法人重科は7億円以下です。ふたつ目。10億円は上限ではありません。条文は「十億円以下(当該違反行為の目的物の価格の五倍が十億円を超えるときは、当該価格の五倍以下)」と書いてあります。取引額が大きければ10億円を超える余地が残っています。

「2017年の法改正で導入」という注記についても補足します。ここは e-Gov で改正前の条文を引いて確認しました。2017年10月1日より前の第72条第1項は、法人に対して「各本条の罰金刑を科する」とだけ書いてあり、10億円や7億円といった金額は入っていません。金額を明記した現在の形になったのは平成29年法律第38号(2017年5月24日公布、同年10月1日施行)によるもので、この点はスライドのとおりでした2

いっぽう第53条第1項の「三年以内の期間を限り」という文言は、同じく改正前の時点の条文にすでに存在しています2。ふたつを並べて「どちらも2017年に導入された」と読ませてしまうのは不正確なので、ここで直しておきます。

右側のグラフは、経済産業省が公表している違反事例をもとに当社が分類したものです。該非判定のプロセスに起因するものが64%、法令の認識不足が8%でした。ここも正確に書いておきます。公的な統計ではありませんし、対象期間や母数、分類の基準をこの記事の形で開示しているわけでもありません。統計値として引用できる数字ではない、という前提で見ていただきたいと思います。

私がこのグラフで言いたかったのは、違反の大半が「うっかり」でも「悪意」でもなく、該非判定のやり方そのものに原因があるという点です。判定の手順が属人的で、根拠が残らず、誰も検証できない。そういう状態を放置したまま輸出を続けていれば、いずれどこかで外れます。そして刑事罰は故意を対象としますが、行政制裁のほうは過失でも科されうる。ここが経営の議題である理由です。

なぜ、規制はこれほど積み上がるのか

制度が厳しくなる背景には、単純な事情があります。有事が増えているからです。

「この1年で、大きな有事が2つ増えました」と題したスライド。ウクライナ侵攻を4年5か月、台湾をめぐる日中の緊張を8か月、中東・ホルムズ海峡危機を5か月として、それぞれの継続期間を横棒で並べている

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より。継続期間は登壇日(2026年7月28日)を起点とした当社の整理です

当日並べたのはこの3つです。ウクライナ侵攻が4年5か月、台湾をめぐる日中の緊張が8か月、中東のホルムズ海峡をめぐる危機が5か月。後ろのふたつは、どちらもこの1年で加わったものでした。有事がひとつ増えるたびに、各国はそれぞれのやり方で規制を足していきます。しかも、前の規制が消えるわけではありません。積み上がるだけです。

「だから、規制がどんどん積み上がります」と題したスライド。ウクライナ紛争に関連していま動いている貿易制限措置が178件、内訳は輸出制限・禁止89件、輸入制限・禁止66件、その他23件

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

ここで示した178件について、出典を正確に書き直します。ジェトロ「世界貿易投資報告2025」の第III章に、2025年6月30日時点で実行中のウクライナ紛争関連の貿易関連措置の内訳が載っています。輸出制限・禁止が89件、輸入制限・禁止が66件、その他の貿易制限措置が23件です3。この3つを足すと178件になります。

ただし「178件」という合計値はジェトロの資料には出てきません。当社が合算した数字です。さらに、同じ図表にはライセンス・許認可要求6件と、ウクライナ産品などへの関税免除といった貿易自由化措置10件も載っていて、全体では194件になります。そして原データはジェトロ独自の集計ではなく、国際貿易センター(ITC)の "Number of Temporary Trade Measures Related to the War in Ukraine" から作成されたものです。

細かい話に見えるかもしれません。ただ、輸出管理の実務では出典の階層を間違えると判断がぶれます。二次資料の数字を一次統計だと思い込んだまま社内を説得すると、あとで足元をすくわれる。自戒を込めて直しています。

該非判定の属人化を、AIで解消する。

経産省2024年度データによれば、外為法違反の52%は該非判定起因。TRAFEEDの機能・導入フローをまとめたサービスカタログを無料でダウンロードできます。

「うちは売っていない」でも、巻き込まれます

第1章でいちばん反応があったのが、ここでした。

「ロシアの兵器の9割に、日本製の部品」と題したスライド。ロシアのミサイルや無人機に日本でつくられた部品が使われていると推計されている(ウクライナ政府の推計)と記載

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

この「9割」という数字については、記事にするにあたって一次情報を探しました。結論から書くと、確認できませんでした。

ウクライナ国防省情報総局が運営する War&Sanctions ポータルには、ロシアの兵器から回収された外国製部品のデータベースが公開されています。2026年5月25日更新の時点で、部品5,816点、兵器202ユニットが登録されており、製造者の一覧には日本の電子部品メーカーや精密機器メーカーも含まれています4。ただし、製造者の国別件数や比率の統計は公開されていません。「9割」に相当する数値をたどることができなかった、というのが正直なところです。

したがって、この記事では「9割」を数値として使いません。確認できる事実はこうです。ロシアの兵器から回収された外国製部品のデータベースには、日本を含む各国のメーカーの製品が相当数登録されている。 ここまでが裏の取れる範囲です。

あわせて、当日の説明で伝えきれなかったかもしれない点を書いておきます。このデータベースに製品が収録されていることは、その企業が規制に違反したという認定でも、軍事転用を意図していたという認定でもありません。民生用の部品を通常の取引として販売した結果、自社の関知しないところで行き先を書き換えられた、という理解のほうが実態に近いはずです。名指しで責める話ではまったくないと、私は考えています。

問題は、企業の姿勢ではなく流通の構造にあります。

「うちは売っていない」でも巻き込まれる流通経路を示したスライド。日本のメーカーが半導体・工作機械・通信機器をふつうに売り、国内の調達拠点を経て、ベトナム・スリランカ・ウズベキスタンなど第三国を経由し、ロシアで兵器の部品として使われるという流れ

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より。スライドには出典として米ニューヨーク・タイムズ(2026年7月12日)ほかの報道と記載しています

日本のメーカーが、半導体や工作機械や通信機器を、ふつうの取引として販売する。それを買った国内の調達拠点が、ベトナムやスリランカ、ウズベキスタンといった第三国を経由させる。そして最終的にロシアへ届き、兵器の部品として使われる。当日示したのはこの経路です。

スライドの中段には、参照した報道に書かれていた内容をそのまま置きました。ここは断りが要ります。報道の段階であって司法の判断が確定した話ではありませんし、記事にするにあたって当該報道の原文には当たれていないため、当社として内容を裏づけたわけでもありません。経路の形として受け取っていただければ十分です。

輸出者の側から見ると、この経路のどこにも「輸出先はロシア」と書かれた書類は出てきません。契約書の相手は国内の会社で、そこから先は自社の管理外です。輸出先の国名だけを見ていては、気づけない。 これがこのスライドで伝えたかったことでした。

だからといって、すべての商流を追跡しろという話でもありません。現実的にできるのは、取引先の実態を確認する手順を持っておくことです。誰が株主か、誰が実質的な支配者か、その会社は規制リストと関係があるか。ここは後述する50%ルールの話とつながってきます。

ルールは「去年と同じ」ではありません

輸出管理の担当者と話していると、「うちは去年整備したので大丈夫です」という言葉をよく聞きます。冒頭の問いかけの4つ目にこれを入れたのは、この1年の変化がとくに激しかったからです。

「ルールは『去年と同じ』ではありません」と題したタイムラインのスライド。2025年9月に米国で50%ルール施行、2025年10月に日本で外為法改正、2025年11月に米国で50%ルール1年間停止、2025年11月にEUで規制リスト更新、2026年11月に米国で50%ルールが自動で復活

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

このタイムラインについても、2か所を訂正します。

まず「2025.10 日本 外為法改正」の表記です。実際に2025年10月9日に施行されたのは、外為法という法律そのものの改正ではありません。外為法第48条および第25条を根拠とする政令、省令、通達のレベルでの改正で、正式には「補完的輸出規制(通常兵器キャッチオール規制)の見直し」と呼ばれるものです5。中身としては、グループA国以外の一般国向けに特定品目について用途要件と需要者要件を追加し、国連武器禁輸国向けには全品目に需要者要件を追加、そしてグループA国向けにも迂回の懸念がある場合にインフォーム制度を適用できるようにした、という改正でした。制度の中身についてはキャッチオール規制の改正まとめに整理してあります。

もうひとつ、「2025.11 EU 規制リスト更新」も直します。欧州委員会の公表で確認できる2025年のロシア制裁パッケージは、第17次が2025年5月20日、第18次が7月18日、第19次が10月23日の採択です6。11月に別途の掲載リスト更新があった可能性は残りますが、官報レベルで特定できていないため、この記事では「2025年10月23日 EU第19次制裁パッケージ採択」に置き換えます。

訂正しても、スライドの主張自体は変わりません。同じひとつのルールが1年で3回も姿を変えた。担当者が去年つくった手順書は、もう現在の制度と一致していない可能性が高い。そういう時代になっています。

2026年11月10日、50%ルールが戻ってきます

タイムラインのいちばん右にある山を、少し詳しく説明しました。

「2026年11月10日、米国の『50%ルール』が自動で復活します」と題したスライド。登壇日から復活まで105日と表示

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

ここは一次情報を取れました。米国商務省産業安全保障局(BIS)は2025年9月30日に "Expansion of End-User Controls To Cover Affiliates of Certain Listed Entities" という暫定最終規則を官報に掲載し、施行日を2025年9月29日としています(90 FR 47201)。規則の要旨には、エンティティリスト掲載企業に50%以上を保有される事業体は、それ自体が自動的にエンティティリストの制限を受けると書かれています7

その約6週間後、BIS は "One Year Suspension of Expansion of End-User Controls for Affiliates of Certain Listed Entities" を官報に掲載しました(90 FR 50857、2025年11月12日公示)。DATES 欄はこう書かれています。2025年11月10日をもって、2025年9月30日付の暫定最終規則による改正を 2026年11月9日まで停止する8

つまり停止期間は2025年11月10日から2026年11月9日までです。BIS が別途の措置を取らないかぎり、2026年11月10日に元の規則の効力が戻ります。登壇した7月28日から数えると、ちょうど105日後でした。この記事を書いている2026年8月1日時点では、あと101日です。

正確に言えば、これは stay(執行の停止)であって規則の撤回ではありません。だからこそ「自動で復活する」と表現しました。何かが新たに決まらなくても、放っておけば戻ってくる。制度の詳しい読み方と計算例はBIS 50%ルールの完全ガイドにまとめています。

「名前が載っていない会社も対象になります」と題したスライド。規制リスト掲載企業、その子会社(50%以上出資でリストに名前はない)、あなたの会社(子会社と取引)という3段階の図

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

実務でやっかいなのは、この規則が「名前の照合」で対応できないことです。

エンティティリストに載っているA社の子会社B社が、リストに名前を載せていない。あなたの会社はB社と取引している。この構図で、リスト検索をいくらかけてもB社はヒットしません。B社の株主構成をたどって、A社が50%以上を持っていることを確認して、はじめて対象だと分かります。

ここで必要なのは、取引先マスタと社名の突き合わせではなく、株主や親会社をたどる確認です。海外の企業情報は言語も登記制度もばらばらで、法人格の略号ひとつで表記が揺れます。手作業でどこまで追うのか、どこで打ち切るのか。この線引きを決めるのは、現場ではなく経営の仕事だと思っています。

ここからが、AIの話です

前半は「モノ」の規制の話でした。ここから話題を変えます。

「AIモデルは『ただのソフト』ですか?」と題したスライド。2026年にAIモデルが使えなかった日数として、Fable 5 / Mythos 5 が世界で全面停止19日、GPT-5.6 が一般公開を延期12日を示す棒グラフ

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

AIモデルは、多くの会社でまだ「ただのソフト」として扱われています。使いたいときに使えるもの、契約すれば止まらないもの。ところが2026年6月、それが実際に止まりました。

Anthropic の公式発表によると、2026年6月12日金曜日、米国政府が Claude Fable 5 と Claude Mythos 5 に輸出管理を適用しました9。同社はこれを受けて両モデルへのアクセスを制限しています。時系列はこうです。6月9日に Fable 5 と Mythos 5 がリリースされ、その3日後の6月12日に輸出管理が適用されて停止、6月26日に米国政府が Mythos 5 の米国内の一部組織向け再開を承認、6月30日に両モデルの輸出管理が解除され、7月1日に Fable 5 がグローバルに復帰しました。

スライドの「19日」は、Fable 5 の停止からグローバル復帰までの日数です。ただし Mythos 5 は6月26日に米国内の一部組織向けが先行して再開しているので、14日で段階的に戻りはじめています。両モデルとも19日間フルに止まっていた、という書き方は正確ではないので直しておきます。

もうひとつ、「米国人以外は世界中で使用不可に」という当日の表現も直します。Anthropic の発表は、リアルタイムで国籍を確認する手段がないことを理由に、米国人を含むすべてのユーザーに対して両モデルへのアクセスを停止したと書いています9。外国人だけが締め出されたのではありません。米国の会社が米国内で使っていても止まったのです。経営者に伝わるべきなのはむしろこちらで、「自社は日本企業だから関係ない」という考え方が通用しないことを示しています。

停止の右側にある GPT-5.6 の「12日」については、一次情報を取れませんでした。OpenRouter のモデルカタログでは GPT-5.6 系のモデルが2026年7月9日付で登録されていますが、これは提供事業者の公式発表ではありません。当初の予定日も延期の理由も、公式の一次ソースにたどり着けていません。この記事では数値として扱わず、「セッションでは報道ベースの情報として示した」とだけ記しておきます。

「米国と中国が、同時にAIモデルを囲い込んでいます」と題したスライド。米国側はAnthropicへの6月12日の輸出管理命令とOpenAIのGPT-5.6公開延期、中国側は自国企業のモデルの重みや学習データの海外提供を制限する検討が報じられている旨を記載

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

このスライドは「囲い込み」という言葉で米中の動きを並べたのですが、いま振り返ると一面的でした。

6月12日の措置の直接のきっかけは、Amazon の研究報告が Fable 5 のセーフガードを回避する手法を特定し、それがソフトウェアの脆弱性の発見や悪用の実演につながりうると判明したことだと、Anthropic 自身が発表に書いています9。地政学的な囲い込みというより、安全性評価に起因する措置という性格が強い。この経緯を落として「囲い込み」とだけ書くと、米国政府への一方的な断罪になってしまいます。

中国側の動きについても、スライドに「報じられている」と書いたとおり、2026年7月時点で報道の段階です。中国商務部や国家インターネット情報弁公室の公式発表として確認できたわけではありません。

そのうえで、私自身の受け止めを書きます。AIモデルは、いま「兵器に近いもの」として扱われはじめている。 これは事実の記述ではなく、私の解釈です。制度の側が追いついていないだけで、実質的な扱いはすでにそうなっている。この事案の背景と含意についてはAIモデルが輸出管理の対象になる時代で別途詳しく書きました。

どこからAIを調達するか、という論点

AIモデルが止まりうる資産だとすると、次に効いてくるのは「どこから調達しているか」です。

「米国企業のAI利用は、1年で中国製に振れました」と題したスライド。米国企業が中国製AIモデルに流したトークンの割合が2025年上半期4.5%、直近12か月の平均11.0%、2026年の週次ピーク46.0%と推移

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より。CNBC(2026年7月7日)が報じた OpenRouter の利用データとして紹介したものです

この3つの数字は、記事化にあたって一次情報を確認できませんでした。CNBC の記事本体にも OpenRouter の公開APIにも、利用シェアのデータを見つけられていません。したがって断定はしません。セッションでは報道ベースのデータとして紹介した、という位置づけにとどめます。

数字の精度はさておき、方向としては現場感覚と一致します。オープンウェイトの中国製モデルは性能とコストの両面で選ばれやすく、米国企業でも実験的に使われている。そして「どこからAIを調達するか」は、もう技術部門だけの判断ではなくなりました。

「クローズドモデルは、止まることがあります」と題したスライド。自社の業務がAIに任せた仕事を通じて1社のAPIにつながり、その国の政府の判断で止まる構造を示す。右側に業界のオープンウェイトへの動きとして2026年7月24日の公開書簡を紹介

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

左側の構造は、そのままです。自社の業務があり、そのうちいくつかをAIに任せていて、その先は1社のAPIにつながっている。そしてその1社が属する国の政府の判断で、一声で止まる。6月に実際にそれが起きました。

右側については、大きな訂正が3つあります。

ひとつ目。公開書簡「Open Weights and American AI Leadership」(2026年7月24日付)の署名は、25社から約50社に増えたという規模ではありませんでした。NVIDIA がホストしている書簡のPDFを確認したところ、署名者は235社です10。Amazon、AMD、Cisco、Cloudflare、Databricks、Dell、Google、Hugging Face、IBM、Intel、Meta、Microsoft、Mistral、Mozilla、Nokia、NVIDIA、Palantir、Red Hat、SAP、Siemens、Snowflake、SpaceX、Uber、Y Combinator、The Linux Foundation といった名前が並んでいます。

ふたつ目。「OpenAI・Anthropic は署名していません」も誤りでした。署名者リストに OpenAI は含まれています。署名していないのは Anthropic です。

みっつ目。「オープンモデルが占めるトークンの割合が4分の1」という数字ですが、書簡の本文にトークンシェアの統計は一切ありません。出典の紐づけを間違えていました。別の一次情報を用意できていないため、この記事では落とします。

そして Anthropic の立場についても、丁寧に書いておきます。同社は2026年7月27日に "Our position on open-weights models" を公開し、書簡の内容の多くには同意しつつ、一部の主張には同意しないと表明しました。そのなかで、オープンウェイトモデルの禁止を主張したことは一度もないと明言しています11。「署名しなかった=オープン化に反対」という構図で読ませるのは事実に反します。ここは訂正しておきたいところでした。

主張の芯は変わりません。問いは「どのAIを使うか」から「止まったとき何に切り替えるか」に変わりました。切り替え先を持たないまま基幹業務をひとつのAPIに預けるのは、事業継続の観点から見て、そろそろ説明のつかない状態になってきています。

「クラウドに置いてあるから安全」ですか

AIの話の最後に、データの置き場所を扱いました。

「クラウドに置いてあるから安全ですか?」と題したスライド。米国は日本にあるデータでも米国企業のクラウド・AIを経由すると米国当局が提出を求められる(CLOUD Act 2018年)、中国は日本にあるデータでも中国企業のサービスなら国の情報活動に協力する義務がある(国家情報法 2017年)という2つの経路を示す

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

米国の CLOUD Act は、2018年3月23日に成立した Consolidated Appropriations Act, 2018 の Division V です。同法により新設された合衆国法典第18編第2713条は、事業者が保有または管理する通信内容や記録について、それが米国内にあるか国外にあるかを問わず保全と開示の義務を負うと定めています12。日本のデータセンターに置いてあっても、保有しているのが米国企業であれば射程に入る、という理解でおおむね合っています。

中国の国家情報法は、2017年6月27日に可決され、翌6月28日に施行されました。第7条は「いかなる組織および公民も、法に従って国家情報活動を支持し、協力し、配合しなければならない」と定め、第14条は情報機関が関係する機関や組織、公民に必要な支持と協力を求めることができると規定しています13

ここは中立に書く必要があります。同じ国家情報法の第8条には「国家情報活動は法に基づいて行われ、人権を尊重し保障し、個人および組織の適法な権益を擁護しなければならない」という規定もあります。第7条と第14条だけを引いて危険性を強調するのは、条文の全体像として公平ではありません。あわせて、同法が2018年4月27日に一部改正されている点も付記しておきます。中国側の法制度の実務的な読み方は反スパイ法・国家情報法と日本企業のリスクで整理しています。

いずれにせよ、実務的な結論は同じです。データを守るうえで効いてくるのは「どこに置いたか」ではなく、「どの国の会社が持っているか」のほうです。物理的な所在地だけを根拠に安全だと判断していると、想定外の場面で足をすくわれます。AIに何を渡すかという線引きの話は、AI時代のデータ主権と輸出管理にまとめました。

AIが「体」を持ちはじめています

第1章の終盤で、規制の対象がどう広がってきたかを整理しました。

「AIは、いま『体』を持ちはじめています」と題したスライド。これまでは画面の中にあったAIが、これからは人と同じ空間に立つようになるという対比。判断を間違えたとき、画面の中では済まなくなるという注記

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

これまでのAIは画面の中にいました。文章を書き、コードを書き、画像をつくる。人間と同じ空間に立つことはありませんでした。それが変わりつつあります。スライドの下段に置いた一行がこの節の要点です。判断を間違えたとき、画面の中では済まなくなる。

「ヒューマノイドロボットは、量産段階に入りました」と題したスライド。中国でのヒューマノイドロボット生産台数を2026年上半期4万台(実績)、2026年通年10万台(見通し)とし、1社が占める世界供給シェアを39%と示す。出典はOmdia(2026年1月)と各種報道(2026年7月)

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より。スライドに記載した出典は民間調査会社Omdia(2026年1月)と各種報道です。記事化にあたって当社では一次情報を確認できていないため、本文ではこの3つの数値を事実として扱いません

当日はこのとおり生産台数を数字で示したのですが、出どころは民間調査会社の推計と報道で、記事にするにあたって一次情報にたどり着けませんでした。したがって、ここでは数値に寄りかかりません。中国を中心にヒューマノイドロボットの量産が現実の段階に入りつつある、という定性的な記述にとどめます。

「規制の対象は、こう広がってきました」と題したスライド。むかしからのモノ(部品・装置の輸出)、いまのAIモデル(2026年に実際に停止した)、これからの機械そのもの(ロボットへ広がる)という3段階

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

規制の広がり方は、この3段階で見ると分かりやすいと思っています。むかしから対象だったのはモノで、部品や装置の輸出が管理されてきました。いま起きているのがAIモデルで、2026年6月に実際に止まりました。そしてこれから来るのが、機械そのものです。

ロボットは、モノでもありソフトでもあります。ハードウェアの輸出管理と、搭載されるモデルの管理と、遠隔で更新されるソフトウェアの管理が、同じ製品の上で重なる。どの規制がどう適用されるのか、まだ整理しきれていない領域です。ここは正直なところ、制度も企業も手探りだと思います。

優秀な人を採りたい。でも、大丈夫ですか

モノ、データときて、最後がヒトの話です。ここは大学の関係者にも企業の人事にも関わります。

「優秀な人を採りたい。でも、大丈夫ですか?」と題したスライド。日本国内にいる人に規制対象の技術を渡す場合の3類型(契約、お金、指摘)と、どれか1つでも当てはまれば事前に国の許可が必要である旨

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

このスライドは3か所を直します。実務で使う方が誤解すると影響が大きいところなので、条文の原文にあたって書き直しました。

まず呼び方です。「みなし輸出の3類型」という言い方をしましたが、正確ではありません。みなし輸出管理とは、居住者から非居住者への技術提供取引を管理する仕組みを指します。ここで問題になる3つは特定類型と呼ばれるもので、非居住者から強い影響を受けている居住者の類型のことです。特定類型に該当する居住者への技術提供が「特定取引」として管理の対象になります。

そのうえで、原文はこうです14

特定類型①は、外国法人等または外国政府等と雇用契約等を締結しており、当該外国法人等または当該外国政府等の指揮命令に服する、もしくはそれらに対して善管注意義務を負う者。日本法人の指揮命令が優先すると合意している場合などの除外規定があります。

特定類型②は、外国政府等から多額の金銭その他の重大な利益を得ている者、または得ることを約している者。「多額」の意味は、金銭換算した場合に当該者の年間所得のうち25%以上を占める金銭その他の利益とされています。スライドには「年収の25%以上」と書きましたが、正確には年間所得です。もうひとつ大事なのは、利益の出し手が外国政府等に限られる点です。外国法人からの報酬は類型②には当たりません。

特定類型③は、国内における行動に関し外国政府等の指示または依頼を受ける者。ここがスライドでは「外国政府等の強い影響下と国から示された」となっていて、これは明確な誤りです。日本政府から指摘や指定を受けることが要件ではありません。外国政府等から指示や依頼を受けていることが要件です。誤ったまま社内規程に写されると実務が狂うので、はっきり訂正しておきます。

根拠は外為法第25条第1項および外国為替令第17条第2項に基づく通達(平成4年12月21日付4貿局第492号)で、令和3年11月18日付の改正により追加され、2022年5月1日から適用が始まりました14。いずれかに該当する居住者へ規制対象の技術を提供する場合、提供の前に許可を取る必要があります。ここで許可を申請するのは提供する側、つまり企業や大学です。

もうひとつ、経済産業省が資料のなかで繰り返し断っている点を並べておきます。実務でいちばん誤解されやすいところだからです。特定類型は、個別の審査で確認しておくべき場合を類型としてまとめたものであって、該当することがそのまま安全保障上の懸念者を意味するわけではありません。この明確化によって従業員本人に新しい許可申請義務が生じるわけでもありません。そして誓約書を取る運用は国籍を問わず必要になるもので、外国籍の方を差別的に取り扱うための仕組みではないと明記されています15

私が壇上でこの話をしたのは、優秀な人を採るのをためらってほしいからではありません。むしろ逆で、確認の手順が決まっていない組織ほど、法令が求めていない範囲まで身構えてしまいます。誰に何を渡すときに何を確認するのかを先に決めておけば、採用そのものは動かせます。

大学の現場でこれがどう効いてくるかは、後編で松原氏に語っていただきました。企業側の実務としてはみなし輸出の特定類型を5分で理解する、大学の体制づくりについては大学の輸出管理入門にまとめてあります。

守りを固めるから、攻めに出られる

第1章の締めくくりです。ここまでの話を3本にまとめました。

「守りを固めるから、攻めに出られる」と題したスライド。海外で稼ぎつづけるため、攻めのAI活用のために、モノ(取引先の親会社までたどる)、データ(AIに渡す情報を先に決める)、ヒト(採用の前に確認する)の3本が守りの投資であると示す

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

モノについては、取引先の親会社までたどること。データについては、AIに渡す情報を先に決めておくこと。ヒトについては、採用の前に確認すること。この3本が守りの投資です。

「守り」という言葉を使うと、コストの話に聞こえるかもしれません。私の考えは逆です。この3本を固めていない会社は、海外で攻めきれません。輸出許可が止まるリスクを抱えたまま新しい市場に出ていくのは、ブレーキのない車で高速道路に入るようなものです。AIも同じで、止まったときの代替を持たない状態では、基幹業務に踏み込ませることができない。

守りが弱いから攻められない。逆に言えば、守りを固めた会社だけが攻めに出られます。

「持ち帰っていただきたい、3つの問い」と題したスライド。1つ目は事業、輸出許可が3年止まったら売上のどれだけが止まるか。2つ目は技術、使っているAIが明日止まったら切り替え先はあるか。3つ目は体制、その2つを誰がいつまでに決めるか

JX LIVE! 2026 TIMEWELLセッション資料より

第1章の最後に、3つの問いを置きました。

事業の問いは、輸出許可が3年止まったら売上のどれだけが止まるか。技術の問いは、使っているAIが明日止まったら切り替え先はあるか。体制の問いは、その2つを誰が、いつまでに決めるか。

この3つは、どれも担当者では決められません。売上の何割が止まるかを算定するには事業計画に触れる必要があり、AIの切り替え先を決めるには投資判断が要り、期限を切るには権限が要ります。会場で私が繰り返したのは、経済安全保障はコンプライアンス費用ではなく、海外で稼ぎ続けるための投資であるという一点でした。

後編では、現場の話を聞きます

ここまでが第1章です。制度の話と世界の動きを40分の前半で駆け抜けたわけですが、正直に言えば、これだけでは足りません。

制度を説明すると、たいてい「で、うちは何から始めればいいのか」という顔をされます。答えは会社ごと、大学ごとに違う。だから第2章では、実際に体制をつくって運用している方の話を聞くことにしました。

用意した問いは3つです。松原氏には、大学の現場でいまいちばん難しいことを。内藤には、AIにどこまで任せられるのかを。そして最後に3人で、限られた体制のなかで何から始めるべきかを話しました。

後編「大学の輸出管理を6名で回す──岡山大学の現場とAIエージェント」では、岡山大学の輸出管理体制の実際と、松原氏に提供いただいた資料をもとに、現場で何が起きているかを詳しく扱います。AIに判断を任せる範囲をどう線引きするかという、内藤の実装側からの話も載せています。

まとめ

  • 2026年7月28日、虎ノ門ヒルズ TOKYO NODE の JX LIVE! 2026 で、TIMEWELLのスポンサーセッションに登壇しました。イベント全体では過去最多の600名超が来場し、当社セッションは40席ほどの会場がほぼ満席になりました
  • 外為法の行政制裁は第53条第1項により最大3年、対象は貨物の輸出と技術提供取引の両方に及びます。法人重科は第72条第1項で、最も重い類型(第69条の7第2項違反)が10億円以下、通常の無許可輸出(同条第1項違反)は7億円以下です。取引額の5倍がこれを超えるときは上振れします
  • 米国の50%ルールは stay されているだけで撤回されていません。2026年11月10日に効力が戻ります。社名の照合では足りず、株主や親会社をたどる確認が要ります
  • 2026年6月、AIモデルが実際に止まりました。米国人を含む全ユーザーが対象で、日本企業だから無関係という話ではありません
  • 特定類型(いわゆるみなし輸出管理の3類型)の第3類型は、日本政府からの指摘ではなく、外国政府等から指示または依頼を受けていることが要件です。当日のスライドの記述を訂正しました
  • 経営が決めるべき問いは3つ。輸出許可が止まったときの売上影響、AIが止まったときの切り替え先、そしてその2つを誰がいつまでに決めるか
  • 規制リストへの掲載は規制上の区分であって、掲載された企業や機関の是非を判断するものではありません。回収部品のデータベースに製品が収録されていることも、その企業が規制に違反したという認定ではありません

登壇資料の数字を洗い直す作業は、正直しんどいものでした。壇上で自信をもって話した数字が、一次情報にあたると出どころが曖昧だったり、その後の事実と食い違っていたりする。それでも、この作業を飛ばして記事にするわけにはいきません。輸出管理は、間違った前提で組んだ手順が数年後に効いてくる分野です。だから、私たちが出す情報は間違っていたら直す。それだけのことだと思っています。

各国の規制リストは、それぞれのタイミングで、それぞれの言語で更新されます。当社がTRAFEEDで規制情報を当日反映で取り込み、取引先マスタとの照合や該非判定を支援しているのは、この更新頻度と多言語性に人手で追いつくのが難しいからです。世界初(*)の輸出管理AIエージェントとして開発を続けていますが、最終的な該非判定と取引可否の判断を行うのは各社の輸出管理責任者です。私たちが担うのは、その判断に必要な材料を、根拠つきで、漏れなく揃えるところまでだと考えています。

自社の体制をどこから見直すべきか判断がつかない場合は、TRAFEEDの担当までご相談ください

(*) 日本の安全保障輸出管理(リスト規制・キャッチオール規制)分野のAIエージェントとして、2026年3月時点、当社(社内)調査により確認済みです。

参考文献・一次情報

Footnotes

  1. 株式会社TIMEWELL「TIMEWELL、新経済連盟『JX LIVE! 2026』登壇レポート AI時代の経済安全保障と輸出管理の最前線を議論」PR TIMES、2026年7月31日 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000138.000119271.html 2

  2. 「外国為替及び外国貿易法」(昭和24年法律第228号)第53条第1項、第69条の7、第72条第1項。e-Gov法令検索(令和8年7月23日施行版) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000228 2 3 4 5

  3. 日本貿易振興機構(ジェトロ)「2025年版 世界貿易投資報告」第III章「世界の通商ルール形成の動向」図表III-6。原データは国際貿易センター(ITC)"Number of Temporary Trade Measures Related to the War in Ukraine"(2025年6月30日時点登録情報) https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/gtir/2025/no3_v3.pdf

  4. ウクライナ国防省情報総局 War&Sanctions ポータル「Components found in russian weapons」(2026年5月25日更新時点で部品5,816点・兵器202ユニットを収録) https://war-sanctions.gur.gov.ua/en/components

  5. 経済産業省 貿易経済安全保障局「補完的輸出規制の見直しについて」(令和7年10月9日施行) https://www.meti.go.jp/policy/anpo/apply-01/20251009_catchminaoshi/20251009catchall.html

  6. European Commission「Sanctions adopted following Russia's military aggression against Ukraine」(第17次2025年5月20日、第18次2025年7月18日、第19次2025年10月23日採択) https://finance.ec.europa.eu/eu-and-world/sanctions-restrictive-measures/sanctions-adopted-following-russias-military-aggression-against-ukraine_en

  7. Bureau of Industry and Security "Expansion of End-User Controls To Cover Affiliates of Certain Listed Entities"(Interim final rule、90 FR 47201、2025年9月30日公示、2025年9月29日施行) https://www.federalregister.gov/documents/2025/09/30/2025-19001/expansion-of-end-user-controls-to-cover-affiliates-of-certain-listed-entities

  8. Bureau of Industry and Security "One Year Suspension of Expansion of End-User Controls for Affiliates of Certain Listed Entities"(Final rule; stay、90 FR 50857、2025年11月12日公示、2025年11月10日発効、2026年11月9日まで停止) https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/12/2025-19846/one-year-suspension-of-expansion-of-end-user-controls-for-affiliates-of-certain-listed-entities

  9. Anthropic「Redeploying Fable 5」2026年6月30日 https://www.anthropic.com/news/redeploying-fable-5 2 3

  10. "Open Weights and American AI Leadership"(公開書簡、2026年7月24日、署名235社) https://images.nvidia.com/pdf/Open-Weights-and-American-AI-Leadership.pdf

  11. Anthropic「Our position on open-weights models」2026年7月27日 https://www.anthropic.com/news/position-open-weights-models

  12. 18 U.S.C. §2713 "Required preservation and disclosure of communications and records"(CLOUD Act、Public Law 115-141 Division V、2018年3月23日成立) https://www.govinfo.gov/content/pkg/USCODE-2023-title18/html/USCODE-2023-title18-partI-chap121-sec2713.htm

  13. 「中华人民共和国国家情报法」第7条・第8条・第14条(2017年6月27日可決、6月28日施行、2018年4月27日改正)中国人大网 http://www.npc.gov.cn/zgrdw/npc/xinwen/2017-06/27/content_2024529.htm

  14. 経済産業省「外国為替及び外国貿易法第25条第1項及び外国為替令第17条第2項の規定に基づき許可を要する技術を提供する取引又は行為について」(平成4年12月21日付4貿局第492号、令和3年11月18日付20211102貿局第1号による改正、2022年5月1日適用開始)1(3)サ①〜③ https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/tutatu/t10kaisei/ekimu_tutatu.pdf 2

  15. 経済産業省「みなし輸出管理」(令和3年11月18日公布・令和4年5月1日適用)および同「『みなし輸出』管理の明確化について(企業の従業員の方向け)」。特定類型に該当することが安全保障上の懸念がある者とみなされることを意味しないこと、本明確化が従業員本人に新たな許可申請義務を課すものではないこと、誓約は国籍を問わず必要であり外国籍の方を差別的に取り扱うことを目的とするものではないことが明記されています https://www.meti.go.jp/policy/anpo/anpo07.html

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